パブロ・ベルヘル監督『ロボット・ドリームズ』を見た。
舞台は1980年代のニューヨーク。虚な目でテレビを眺める孤独なドッグ。そのとき、彼はテレビCMに心を動かされ、友達ロボットを購入する。
稼働した瞬間からニコニコ、ニューヨークの街を歩く時も周りに興味津々、駅の改札もジャンプ、そんなロボットと一緒にいてドッグも穏やかな表情。2人の楽しい時間は、見てるこちらも幸せな気持ちにしてくれた。
海で遊んだあと、ロボットが錆び付いて動かなくなり、2人がバラバラになってからが映画の大半を占める。運が悪いことに、ロボットを回収するには来年の海開きを待つしかない。
海に残されたロボットは、何度も何度もドッグとの再会を夢に見る。2人で見た『オズの魔法使い』の黄色い道を思い浮かべたり、鳥の親子と交流したりしながら。
再び1人になってしまったドッグは、ロボットと違って自由に動けるからこそ辛かったと思う。ロボットがいなくても月日は巡り、すれ違う人たちはみんなパートナーがいて楽しそう。スキーに行ってみてもアリクイの二人組にからかわれて怪我をする。仲が良くなったダックはヨーロッパに移住してしまう。
そもそもドックは友達付き合いが苦手な印象がある。生きるのが不器用というか…。友達は欲しいけれどあまり内面に興味を持てないような。他者と深く関わることを避けてきたような。だからダックからの手紙も返すことはなさそうだなと思った。
ディズニー映画なら、例えばトイ・ストーリーなら、信じる気持ちと行動と運で、映画のラストで再会できたはずだけれど、現実はそう上手くいかない。可愛いアニメーションなのに、描かれているのは現実だ。人生だ。
2人はそれぞれ違うパートナーと出会い、それぞれのパートナーと踊る。それは寂しいことかもしれないけれど、ドッグとロボットの出会いがなかったことになるわけじゃない。確かに存在したのだ。
ロボットがドッグから姿を隠したとき、その決断に涙がボロボロ出てしまった。今の生活も悪いものじゃない。ラスカルはいいやつでだし、ドッグの横にも新しいパートナーがいる。
2人はまた違う機会で再会するかもしれない。もう2度と会わないかもしれない。でも、笑っていて欲しい、元気でいてほしい、お互いにそう願いながら、ニューヨークの空の下で、生きていくのだと思う。