『薬屋のひとりごと』第1期を見た。
原作未読。小学館のほう、倉田三ノ路作画の漫画を1巻だけ読んだことがあるような…。友人に勧められて第1期2クールを1週間ほどで完走した。かつて雪乃紗衣『彩雲国物語』にどハマりした過去があるので、好きになるんじゃないか、と言われていたが、残念ながらそこまでの熱量は持てなかった。
どうしても、世界観がふわっとしているところに引っかかってしまう。壮大な世界そのものの背景をもう少し固めてほしいし、今後説明されてほしいと思った。
物語は猫猫(マオマオ)が花街の薬屋から後宮の下働きになるところから始まる。この時代の下女の立場とはどのようなものなのか?上級妃の毒見役になり、猫猫は「出世した」と述べてはいた。が、あまりにも猫猫があちこち自由に行き来できていて、それが気になった。身分の低い人間にはそもそも立ち入りできない場所が多くあるだろうに、アニメを見ている限り猫猫に入れない場所はなさそうな。
ストーリーは、猫猫が一つ一つの事件を解決し、話が進むにつれてそれぞれの事件が一つの大きな陰謀に繋がっていくのが気持ちが良かった。猫猫が披露する知識も、その世界では怪異であっても、こちらとしてはイメージがしやすい。
話はほとんど猫猫視点か壬氏(ジンシ)視点で描かれており、仕方がないだろうがモノローグの多さが辛かった。キャラクター名が覚えにくいので、もう少しアニメーションで説明できないのか?全て言葉で説明する必要もないし。
猫猫のキャラクターが視聴者にウケた理由を考えてみたい。
・好きなもの(薬・毒)があり、知的好奇心が強い
・好きなものを仕事に生かせる環境が用意されている
・周りから評価されている
・醜女のふりをしているが実は美人だしメイク映えする
・正義心があり、身を挺して他者の命を救おうとする
・謎のイケメン(壬氏)から好意を持たれている(本人はそれをなんとも思っていない)
・出生の秘密を抱えている
・実母、実父への想いよりも、養父への想いが強い
意外だったのは、物語としてありがちな「実父とのわだかまりが解決して仲良し親子になる」という展開にならなかったこと。猫猫は一貫して、薬の師匠であり養父の羅門(ルォメン)のことを慕い、「生みの親より育ての親」という姿勢を崩さない。
親子の描き方が新鮮だと感じた。
映像が綺麗だし、声優も違和感がなく、とても丁寧に描かれた作品だった。第1期では猫猫の過去が明かされたので、第2期では壬氏の正体や関係性の変化が描かれるのかなと思う。